私はまだ一人分の計算ではないらしい。一ヶ月も経っていないから当たり前と言えば当たり前だけど、ちょっと申し訳ないというか……へこむ。あんなに辞めたいと思っていたのに、今ではちょっとでも役に立ちたい気持ちが芽生えてきていた。

「あの……明日、よろしくお願いします」
「はーい」

 私はロッカールームを後にして、レジカウンターへと急いだ。

 ちょっとモヤモヤした気持ちを引きずりながら、
「央寺くん、交代するよ」
 と声をかける。

「あぁ、うん。早かったね」

 店内を見回すと、いったんお客さんが引いたみたいで、そこまで混んではいないようだ。「っしょ……」と、ひと息つくように大きく伸びをした央寺くん。

「じゃ、休憩取ってくるから、何かあったら……」
「うん、このスタッフコールボタンで店長を呼……あれ?」