「へぇー、あそこらへんなんだー。でも、あのへん、アパートとかマンションとかないよね? 貸家?」
「いや、ばーちゃんち。じーちゃん死んでるから、ひとり暮らししてるところに俺らが越してきて、古い家に三人暮らし」
「三人?」
「終わった!」
 
私は、話の流れをぶった切るように、大きな声でそう言った。
ふたりともビクッと肩を上げてこちらを見る。

「ちょっとー、理穂ちゃん。びっくりしちゃった」
「ぶっ」
 
なにかを察したのか、相良くんが小さく噴き出す。
べつに助け舟とかそういうのではまったくなく、私がただ聞きたくなかっただけだ。

「あ、相良くん。彼女はね、理穂ちゃんていってね……」
「すげー真面目で誠実で勤勉家?」
「あぁ、うん、そう、まさに。ふふ。副委員長もしててね、すごく頼りがいがあるんだよー」