「うわー、さらっとそういうこと言えるなんて、相良くんて実は遊んでた人?」
「遊んでないよ。真面目で誠実で勤勉家」
「よく言うー」
 
美月は、「相良くんてこんなに面白い人なんだー」と言って、楽しそうに話している。

というか、相良くんも相良くんだ。
鼻の下を伸ばして、よくそんな軽い言葉が出てくるものだ。
彼女がいるんだよ、この人は、って言ってやりたい。

「ねーねー、相良くんち、どのへん?」
「あの山の上」
 
相良くんは窓の外を指で示して、「めっちゃ不便」とぼやく。
 
この三階の教室からは、学校の敷地内のグラウンドや緑の向こうには田園が広がるのが見え、その奥には大きな山と麓の民家がポツポツ見える。

田んぼと山の緑と、空の青、そこに弛んでかかっている電線の黒がミスマッチだ。