げ、なにして……。

「あー、相良くんだー! お昼はどうもー」
 
え? と、実際声が出そうになった。
美月が彼に大きく手を振り返してそう言ったからだ。

相良くんは一瞬きょとんとした後で、あぁ、と思い出したような顔をして、
「どーも。えーっと、笠間ちゃん」
と返した。
笠間とは美月の名字だ。
 
相良くんは、数人しか残っていない私たちの教室に入ってきて、こちらまで歩いてきた。
旧音楽室以外でこういうふうに会うのは初めてで、挙動不審になってしまいそうだ。