「まぁ……ここを貸し切ることができてるって、贅沢だね。ソファーもあるし」
「うん。座ってみる? これがなかなかいいクッション性」
 
相良くんは、まるで自分の家の家具を自慢するかのように手招きをして、私が座るスペースを空けた。

私は「ホントに?」と言ってピアノ椅子から立ち、ソファーに座ってみる。

「あー、ホントだ。楽。すごく」
 
背もたれに体重をかけると、まるで包まれているかのように心地いい。
これは、寝転びたくなるのもわからなくはない。

「だろ?」
 
そう言ってニッと無邪気に笑った彼と、目が合った。

この前ピアノ椅子で一緒に座った時も思ったけれど、近くで見るとなかなか愛嬌のある顔をしていて、逆ハの字の眉も吊り目の鋭さもそんなに気にならない。