また極端に話題を変えられたものだから、私は拍子抜けして、立てた指をだらりと垂らす。

「違うよ、なんか……旧音楽室を借りてまで練習してるって、みんなに思われたくないっていうか」
 
たしかに、誤解されたくないから、という理由もあるけれど、それは伏せて説明する。

「頑張ってるとこ、見られたくないってこと?」
「まぁ、できれば」
 
そう返すと、「変なやつだな、お前」と言われる。
変なやつに変なやつと言われると、あまり気分はよくない。

「なんだ。俺はてっきり、この貸し切り感をなくしたくないのかと思った」
「貸し切り感……」
 
言われてみて、そういえばそうだな、とちょっと思った。

たしかに風も通って、木の陰で涼しくて、ピアノも思い切り弾けて、奥の机や椅子のゴタゴタに見慣れてしまった今、居心地は申し分ないし……。