あ……そういえば、ここからは弓道場が見下ろせるんだった。

窓から見下ろすと、高めのフェンスに囲まれた弓道場がよく見えた。斜め下にあるからか、屋根の下の射場も見え、それほど多くはない人数の部員たちの中に、園宮くんの姿を見つける。
背が高いからか、すぐにわかった。
 
園宮くんは、実力考査の出来はどうだったのだろうか。
そこまで難しい問題は出なかったけれど、数学の最後の問題だけはちょっと捻っていた。
返されたら、彼と話をするきっかけになるから、そのときに聞いてみよう。

「…………」
 
じっと見るのはなんだか気恥ずかしい気がして、私はピアノへと向かった。
段差があり、私は躓かないように一段のぼり、ピアノの鍵盤蓋を開ける。

家のピアノでは音が響きすぎるという理由で開けないけれど、せっかくだから屋根も開いてしまおう。
そう思った私は、「よいしょ」と声を出して持ち上げ、突上げ棒で止める。
中を見ると、弦とダンパーがきれいに整列していて、私の心の姿勢も正された気がした。