「なんだよ?」
「べつに。調律できるから、もう少し弾けるのかもって勝手に思い込んでただけ。ていうか、相良くん、ホントに左利き?」
「そうだよ。いいから続き」
でも、音を覚えるのが早い。
“耳がいい”とも言っていたし、私の指を見て覚えているというよりは、音を聞いてそれを鍵盤に再現している、という感じがする。
私はちょっとずつ手本を長めにしていった。
ぎこちなくも懸命にその音を追っていく隣の相良くんの真剣な顔を見て、ちょっとだけ可愛いと思ってしまった。
なんだ、この人こういうところあるんだ、とおかしくなって、ふっと笑ってしまう。
「おい、笑うな」
鍵盤から目を離さずに弾いている相良くんが、右の肘で私の左の腕を小突いた。
こんなふうに男の子と触れることなんてなかったのに、なぜだろうか、相良くんとは自然な感じだ。
ついこの間引っ越してきたばかりだし、クラスも違うのに、妙な親近感を覚える。
「べつに。調律できるから、もう少し弾けるのかもって勝手に思い込んでただけ。ていうか、相良くん、ホントに左利き?」
「そうだよ。いいから続き」
でも、音を覚えるのが早い。
“耳がいい”とも言っていたし、私の指を見て覚えているというよりは、音を聞いてそれを鍵盤に再現している、という感じがする。
私はちょっとずつ手本を長めにしていった。
ぎこちなくも懸命にその音を追っていく隣の相良くんの真剣な顔を見て、ちょっとだけ可愛いと思ってしまった。
なんだ、この人こういうところあるんだ、とおかしくなって、ふっと笑ってしまう。
「おい、笑うな」
鍵盤から目を離さずに弾いている相良くんが、右の肘で私の左の腕を小突いた。
こんなふうに男の子と触れることなんてなかったのに、なぜだろうか、相良くんとは自然な感じだ。
ついこの間引っ越してきたばかりだし、クラスも違うのに、妙な親近感を覚える。