「でも、理穂子すごいよね。高校入ってから、5位以下になったことないっしょ? なんかコツあんの? 勉強の」
 
尚美が腕組みをして口を尖らせながら私を覗き込む。

私は「うーん」と唸り、
「コツって言われてもねぇ……授業をちゃんと聞いて、宿題もちゃんとすれば、それでいいんじゃないかな」
と無難に返す。

個別指導の塾に行っていることは、みんなには言っていなかった。

「ほら、頭のいい人はそう言う。元が違うんだよね、結局。私がそれしたところで、先生に、熱でもあるのか? って聞かれるだけだわ」
 
尚美は顎を上げて、わざと遠い目をした。
それを見て、私たちは笑い合う。