「相良くん、そもそも誰に協力してたの?」
「え?」
 
しれっとした顔の相良くんは、椅子のところまで戻ってきながら、「意外と地獄耳」とぼそりと呟く。

「……ん?」
「あ、そういえばさ、このピアノ、また調律ずれてきてんだけど」
 
パンッと勢いよく手を叩いた相良くんは、あからさまに話題を変える。

「うーん、しかたないから、また手入れしてや……」
「相良くん」
 
私は不服な顔をして、相良くんの制服の袖を引っ張った。

すると彼はふっと目を細めた後、
「よしっ、じゃあ次はなに弾く? 一緒に合わせよう、ウサギ」
悪びれもなく、屈託のない笑顔を私に披露してみせた。









-おわり-