大人びた声を耳に流し込まれ、私の心臓は痛いほど縮み上がった。
相良くんが私を大切に思ってくれているのがダイレクトに伝わってきて、そして、それがどうしようもなく嬉しくて、また涙がせり上がってくる。

でも、それでも……。

「いや……だ」
「そんなにいや?」
「……二股とか、最悪」
「は?」
 
ガバッと体を引きはがす相良くん。
私は驚いて彼の顔を見た。彼も負けず劣らず驚いている。

「委員ちょ……あの園宮ってやつ、ウサギとも付き合ってんの?」
「はっ?」
「マジかよ。ちょっと今から……」
「ち、違うよっ。相良くんだってば」
「ああ?」
 
彼のあまりいいとは言えない目つきが、一層鋭くなって私に向けられる。