笑うと、相良くんがまた椅子のところまで戻ってきた。

私の横に立ったから、見上げて、
「どうしたの?」
と尋ねる。

「いや、普段あんま笑わねーから、ウサギ。レアだな、と思って」
「え?」
 
立っていた相良くんがすとんとしゃがみ、今度は私が彼を見下ろす形になった。

かがんだまま両腕を膝にかけてうなだれる相良くん。
私は、彼の跳ねた髪の中につむじを見つけ、その一点をじっと見つめた。

「委員長は、笠間ちゃんと付き合ってるって聞いた?」
「知ってるよ。美月が毎日ノロケてる」
「じゃあ、諦めたら?」
「なにを?」