「…………なんか、いろいろ、しましたか?」
 
弾き終えた私は、ソファーに座っている彼に声をかける。

彼は、スマホ画面から目を離さずに、
「まぁ、適当に」
と言った。

「あ……ありがとうございました」
「さっき聞いた」
「…………」
 
風が、彼の無造作に跳ねている髪の毛先を柔らかく揺らす。
それを見て、あれはセットではなく寝癖なのか、と思った。

だからというわけでもなく、意外と優しいんだということを知ったからでもなく、私は自然に、
「同級生なんだけど」
と口を開いた。