お母さんは胸の前で手を合わせ、目を線にさせる。
「好きなテレビアニメのオープニング曲を先生と一緒に弾いてね、もうすっごく嬉しそうな顔をして、楽しいから絶対通いたい、って言い張ったの。いろんな習い事の体験に行かせたんだけどね、ピアノだけは自分から、本当に積極的に」
「……そうだったっけ?」
「写真に撮りたいくらいの、とびきりの笑顔だったのよ。今でも、お母さんの頭に焼きついてるわ」
思い出しながら、また、ふふと笑ったお母さんの横で、黙々と箸を進めるお父さん。
なんだかいつもとは逆だ。
「さ、早くご飯食べてケーキにしましょ。ダイエット中だけど、お母さんも食べちゃうわ」
何事もなかったかのような態度のお母さんを見て、私は、もしかしたら彼女が一番強いのかもしれないと思った。
「好きなテレビアニメのオープニング曲を先生と一緒に弾いてね、もうすっごく嬉しそうな顔をして、楽しいから絶対通いたい、って言い張ったの。いろんな習い事の体験に行かせたんだけどね、ピアノだけは自分から、本当に積極的に」
「……そうだったっけ?」
「写真に撮りたいくらいの、とびきりの笑顔だったのよ。今でも、お母さんの頭に焼きついてるわ」
思い出しながら、また、ふふと笑ったお母さんの横で、黙々と箸を進めるお父さん。
なんだかいつもとは逆だ。
「さ、早くご飯食べてケーキにしましょ。ダイエット中だけど、お母さんも食べちゃうわ」
何事もなかったかのような態度のお母さんを見て、私は、もしかしたら彼女が一番強いのかもしれないと思った。