今日は、ハンバーグだ。
私の好きなお母さんのオリジナルソースがかかっていて、私はそれに力をもらうようにひと口頬張って咀嚼し、ゴクンと飲み込む。

「違う。私は私のできる限りでやったんだから、順位に関しては反省する必要はないって言ってるの。できなかった問題に関しては、もちろん反省も克服もするつもりだよ」
「違うだろ。大事なのは結果だ。社会に出たら、過程じゃなくて成果だけを見られるんだぞ」
 
私は下唇を噛む。
そうだ、たしかにそう言われてきたのだ、今までずっと。

「ピアノのコンクールだってそうだ。スポーツの試合も、大学受験も、会社の採用試験だって、全部……」
「お父さん」
 
その時、お母さんが笑顔のままで箸を置いた。

「お父さんは、理穂ちゃんの結果だけじゃなくて、理穂ちゃん自身も否定してるわ」
 
そのひと言に、私もお父さんも言葉を失い、お母さんに注目する。