「えっと……じゃあ……うん。教室のほうに、戻ってみようかな」
 
ボソボソと独り言のように言いながら、このままここにいたらダメなのかな? という表情で再度私たちを見る美月。

「ていうか理穂ちゃん、ここに用事って、なんの?」
 
私は、ここにきてそれを追及されたことで、なにも言えなくなって俯く。
 
相良くんに会いに、だとか、話があって、などとは言えない。
だって、美月の中では私と相良くんは“そんなに親しくない”のだから。
そんなことを言ったら、変なふうに取られるに決まっている。

「俺が呼んだの、この人を」
 
その時、相良くんが軽いトーンでそう言った。