帰りのホームルームが終わり、人がまばらになり出した教室でいつものように日誌を書いていると、机に影ができた。
「ごめん、いつも。今日はそれ、俺が先生に持っていくよ」
顔を上げると、見下ろす園宮くんの顔が高い位置にあった。
そういえば、テスト前も園宮くんはこうやって声をかけてきてくれたな。
「ううん、いいよ。大丈夫」
「さっき、先生にプリントのファイリングを頼まれたんだ。金曜は、宇崎さんが頼まれたんでしょ?」
「あ……うん」
今度は園宮くんに頼んだんだ、松野先生。
ニコニコしながら、頼み事が多い先生だ。
「それに、宇崎さん、なんか急いでる。だから、今日は俺が」
そう言ってくれた園宮くんに、
「じゃあ、書き終わったらお願いします」
と頭を下げた。