期末考査最終日は、金曜日だった。

先週お父さんと約束したこともあって、私は帰りのホームルームを終えて日誌を先生に出すと、ピアノ教室に向かうべく昇降口を出た。
先生からプリント類の仕分けの作業を頼まれて、いつもより遅くなってしまったから、少し急がないといけない。
 
気乗りはしないけれど校門を出て、高校周りの石垣のある歩道を早歩きで進んでいると、微かにピアノの音が聞こえた。

「え?」
 
ちょうど旧総合棟脇の歩道だから、おそらく旧音楽室からだ。

「……なんで」