「揉めてる? もしかして、あの人と」
「あぁ、相良くん? ……うーん、まぁ……なんていうか」
「なにか、脅されてたりとか」
「いや、ないない。それはない」
 
真顔で聞いてくるもんだから、誤解をさせるわけにはいかないと、両手のひらを見せて大きく横に振る。

「あー……っと、テストだね、明日から」
 
話を無理やり変えて、相良くんから話題を逸らす。
すると、園宮くんは、「うん」と短く返した。

「今度も園宮くん、一番だったらいいね」
「うー……ん、まぁ」
 
園宮くんは、首をひねった。

私も、同じく首をひねって彼を見ると、
「なんかさ、順位にこだわると、いろいろとおろそかになるよね」
と呟くように話し出す。