それから、お父さんが、気持ちの持ちだとか、勉学がいかに大事かだとか、この口をきかなかった二週間を埋めるように長々と話し出した。

以前は素直に聞けていた話も、この心持ちではすべて説教、小言にしか聞こえない。
 
だって、言われていることは全部わかっている。
自分が一番わかっている。

それでもピアノの益川先生の言葉と一緒でやはり全然心に留まらず、お父さんの硬い声も、お母さんのよいしょする声も、みんな一緒くたで耳をすり抜けていく。
 
反対に、胸の奥に積もっていくのは、カビの生えたような黒くて汚い落ち葉。
あとからあとから重なって、湿気を含んで重くなり、ため息でそれを吐き出そうとするけれど、心は全然軽くはならなかった。