「なんか、意識してない、っていうことを意識しすぎてる感じ」
 
自分でも無意識だったことを指摘されて、恥ずかしくなって俯く。
 
私の気持ちが沈んでいたのは、相良くんだけが原因じゃない。
けれど、いくつかの中で一番心を乱されているのが彼なのは、たしかだ。

「……うん」
「関係あるってこと?」
「……ある」
 
そう返した時、背後から近付いてくる足音を聞いた。
彩佳と同時に振り向くと、渡り廊下を相良くんがこちらへ歩いてくるところだった。

「じゃあ、ふたりで話すのが一番だね」
 
彩佳はおもむろに立ち上がり、座っていたスカートのお尻の部分をパンパンとはたく。