瞬きを何度もした私は、彩佳が今言ったことを頭の中で噛み砕きながら、だんだん自分が情けなくなってきた。

私……迷惑……かけてたんだ、みんなに。
 
体育館で行われるバンドやダンスの準備で、衣装に着替えた演者や荷物を運ぶ人たちが集団で通り過ぎる。
私は彩佳にまた手を引かれ、グラウンドへと下りる石段に腰を下ろした。

「具体的なこと、言いたくないんだったら無理には聞かないけどさ、なにかあって“つらい”とか“いやだ”とか、それだけでも言えない? 私たちには」
「…………」
「弱いところとかかっこ悪いところ、どうしても見せたくないの? 理穂子は、私たちに」
 
無意識に、目から涙がひと粒、座る自分のスカートの上に直接落ちた。

「……い」
「なに?」
「……つらい」