「はーい」
 
呆れたように微笑んでそう言った相良くんが去っていった後で、尚美が、
「理穂子、どうした? なにがあった?」
と小声で正面から顔を近付けてくる。

「ていうか、理穂ちゃん、ちょっと怖い。相良くんに失礼だよ、そんなに親しくないのに」
 
斜め前から、美月も言ってくる。
その言葉に、膝の上の拳をぎゅっと握った。

「あー……っと、ごめん、ふたりとも。さっきから理穂子、ちょっと体調悪いみたいでさ。飲み物とワッフル、テイクアウトできそうだったらお願い。ちょっと外に出るね」
 
ふいに彩佳がそう言って立ち上がり、私の腕をつかんだ。
そのままここを出ようと引っ張られ、廊下まで連れていかれる。

唖然とした美月と尚美が、「え? そうなの?」「大丈夫?」と聞き返した後で、「わかった」「了解」と小刻みに頷いたのを見た。