……やっぱり、いた。
 
そう思いながらもその席に行かないわけにはいかず、私も彩佳も尚美と美月の向かいに座る。

「こんちは。理穂ちゃん」
「どーも」
 
目を合わさずにそう返した私は、美月たちが楽しそうに相良くんと会話を続ける中、外を見てやり過ごす。
 
私が彼の秘密に気付いたことは、誰も知らない。
相良くん本人も知らない。
ただ私だけが、やり場のない気持ちを持て余しているだけだ。

「で、理穂ちゃんはなに頼むの?」
 
頬杖を突いていたら、相良くんに聞かれ、
「彩佳と同じでいい」
と、やはり視線を合わさずに答える。