電源を入れて再生ボタンを押すと、私が見たところよりもさらに二十分ほど進んだところから画面に映し出される。
私が見たのは高校生の部だったけれど、中学生の演奏に移っていた。
上手な人だけをピックアップして、別々のコンクールを貼り合わせたのかもしれない。
 
同じ、ショパンのエチュード。
ふたりほど見たけれど、中学生ながら上手だった。

若干荒々しさが目立つのは、私の耳が肥えたからだろうか。
やはり高校生のそれとは、ワンランク違うような気がした。

「……お腹空いた」
 
結局、続きを見る集中力が切れ、私はキッチンへと向かった。
カレーの鍋に火をかけ、炊飯器のご飯を平たい皿によそう。

冷蔵庫から緑茶のペットボトルを取ってコップに注いだ私は、いったんそれをリビングへと運ぶことにした。