そうだ。そうだった。
彼と話せることはちょっと優越感を伴って嬉しかったし、園宮くんが美月のことが好きだってわかった時もショックだった。
みんなには言ったことがなかったけれど、私は密かに彼に憧れていたはずだ。

でも今は……。

「うーん……たしかに優しいし、かっこいいとも思うけど」
 
私は、顎に手をあてて考える。
今の彼に対する気持ちは、以前とは全く違っていることに気付き、自分でも驚く。

「恋愛感情じゃない」
「そうなんだ」
「じゃあ、ほかに気になる人は?」
「ほかに?」
 
私は彩佳に誘導されるように、頭と心を整理しようとした。
けれど、認めたくない方向へ思考が引っ張られていくような気がして、私は「いないよ」と笑った。