色とりどり大小様々なバルーンが鮮やかに飾りつけられていく。

私は周りの装飾の進度を見回した後で、
「だって、ホントに相談するようなことなんてないからさ」
と答えた。

「ホントに?」
「うん」
 
高い位置に括りつける作業に移り、私はつま先立ちをして詰まった声で返事をする。

「相談することがないっていうより、相談する相手として認めてないってことはない?」
「え?」
 
聞き取れたものの、彩佳が本当にそう言ったのかと思って、私はバルーンをつけられないまま、踵を下ろして振り返る。

「つけようか?」
 
その時、横から手が伸びて、私の手からパンダのバルーンがなくなった。
見ると、園宮くんが代わりにつけてくれている。