「理穂子ってさ、私たちになにも相談してこないよね」
「相談?」
「うん。いやなことがあったとか、苦手な人がいるとか、好きな人がいるとか、親がどうだとか」
「そう?」
 
思いがけないことを言われて、私は頭を掻いた。
言われてみればそうかもしれない、と初めて自分を顧みる。

「私はっていうか、美月とか尚美とかもけっこう小出しに言ってるけどさ、理穂子は相槌打ったりアドバイスくれたり、ほぼ聞き役じゃない?」
「そうかな」
「そうだよ」
 
彩佳がクスクスと笑う。
そして、
「自覚症状ないんだ?」
と言った。