「いよいよ明日からだね、文化祭」
 
前日である水曜日の午後は、明日の準備やリハーサルに充てられ、私と彩佳は一組の教室でバルーンアートの仕上げの飾りつけをしていた。

美月と尚美は、旧美術室から看板を運ぶため、教室にはいない。 
昨日も一昨日も、美月と尚美は看板作りで旧美術室へ行っていた。

その駆けていく後ろ姿を見ていた私はなんとなく面白くなくて、今も文化祭前日だというのになかなかテンションが上がらない。

「また、ため息ついてる」
 
彩佳に言われて、
「え? ごめん、無意識だった」
と返す。

ぼーっとして手元が止まっていたことにも気付いて、私は飾りつけ作業を再開した。