それなのに、なぜだろうか。
勉強とピアノに対する自信をなくしてしまった今、鎧を剥ぎ取られたただの凡人、いやそれ以下になってしまった気がして、どうしても卑屈になってしまう。
 
私は鏡から逃げるようにベッドに飛び込み、顔を枕に突っ伏した。

『腹黒ウサギだな。協力しようか?』
 
相良くんがニヤリと笑った顔が真っ暗な瞼の裏に映る。

「……だから、そんなのいらないって、言ったじゃん」
 
翌週の月曜日も火曜日も、旧音楽室には寄らずに帰った。