勉強机の椅子に座って額を押さえるも、昼休みと放課後の美月と相良くんが頭によみがえり、もう一度ため息をついて立ち上がった。
 
ベッドに横になろうと移動すると、部屋の隅の姿見に自分が映った。

私の髪は、美月の髪に比べて艶がない。
私の口は、美月の口に比べて口角が下がっている。
私の目は、美月の目に比べて覇気がない。
 
体は固いし、足も速くない。
もの作りとか料理にも興味はないし、女の子らしい趣味もない。
ファッションにもおしゃれにも疎いほうだし、そもそも着飾ってそれが似合うようなタイプでもない。
 
今までそんなのどうでもいいことだと思っていた。
自分は自分で、人は人。
比べることも合わせようとすることもナンセンスだと、そう思っていた。