「……お母さん、なに見てるの?」
「え? あぁ……デッキの中にそのままになっていたDVDを再生したら、これだったの。理穂ちゃんでしょ? これを途中まで見てたの」
思い出した。
ピアノの先生からもらった、同じ課題曲だった時の過去のコンクール動画だ。
五分ほど見たものの、変にプレッシャーになりそうだと、見るのを中断したDVD。
「あ、そうね、そうだわ。もう飽き飽きしてるわよね、この曲。夕飯の準備をするから消すわ」
お母さんはまた変な気を回したのか、そそくさとリモコンを手に取って、停止ボタンを押す。
私はなにも言わずに階段をのぼった。
「……ふぅ」
仮病が本当になりそうだ。
頭が痛いような気がする。
「え? あぁ……デッキの中にそのままになっていたDVDを再生したら、これだったの。理穂ちゃんでしょ? これを途中まで見てたの」
思い出した。
ピアノの先生からもらった、同じ課題曲だった時の過去のコンクール動画だ。
五分ほど見たものの、変にプレッシャーになりそうだと、見るのを中断したDVD。
「あ、そうね、そうだわ。もう飽き飽きしてるわよね、この曲。夕飯の準備をするから消すわ」
お母さんはまた変な気を回したのか、そそくさとリモコンを手に取って、停止ボタンを押す。
私はなにも言わずに階段をのぼった。
「……ふぅ」
仮病が本当になりそうだ。
頭が痛いような気がする。