「わぁ、びっくりするじゃん。相良くん」
「ごめんごめん。ほら、そこのロッカー半開きであたりそうだったから」
 
そんな話をしながら、「じゃーね」と美月と手を振って別れた相良くんは、三組のほうへ向かってくる。
 
なんだろう。なんでだろう。いやな気分だ。
園宮くんの気持ちを知っているから、伝染しているのだろうか。
モヤモヤして、頭痛がするような……。

「理穂ちゃん、バイバーイ」
 
すれ違う時、彼はそう言って私の肩をツンと押した。
軽く押されただけだと思ったけれど、バランスを少し崩したことで園宮くんの腕にちょっとあたってしまった。

「ごめん、園宮くん」
「いや。大丈夫?」
「うん、大丈夫だけど」