園宮くんが、ちょっとずつ饒舌になってきている気がする。
話しやすいと言っていたし、心を許してくれている感じだ。

「それに、温度がある」
 
言われ慣れない誉め言葉をもらって、私は返事に困った。

「それって……どういう……」
「あ」
 
園宮くんがそんな声を出したのは、ちょうど三組の教室に差しかかった時だった。
反対側から美月と相良くんが、ふたりで楽しそうに話しながら歩いてくるのが見える。
 
無言でも歩みをゆるめずに進んでいると、相良くんと目が合った。

目が合いつつも、美月とのお喋りはやめていない。
それどころか、ニッと笑って、美月の肩を自分側に寄せる。