「えー? 髪がツンツンしてて、眉毛も目も吊り気味で? うーん……他に特徴は?」
「えっと……細身なほうで、身長は175センチくらいかな」
「そのくらいの人、いっぱいだしねぇ」
 
翌日、休み時間に教室の机のところで彩佳と話していると、
「なになに? なにか面白い話?」
と、美月が背後から私に抱きついてきた。

「理穂子が見た人らしいんだけど、この学校にそんな人いる? って話」
 
彩佳が話の流れを説明してくれる。尚美はというと、廊下で同じテニス部の友達と話しているようだ。

教室内はせっかくクーラーがついたというのに、男子が窓を開けたせいでトンボが入ってきて、何人かが格闘して笑い声がうるさい。

「なんでなんで? かっこよかったの? その人」
「いや……うーん……」