「理穂子、元気?」
「なに? 急に。いつも一緒にいるじゃない」
 
彩佳が、私の隣の椅子を借りて、こちら側に寄せて聞いてきた。
尚美と美月がいないと静かだ。

「まぁ、元気ならそれでいいんだけどさ」
 
ふふ、と笑って、彩佳は手を動かす。

成績が下がったあたりからなんとなく気にしてくれている様子だけれど、私はまだなにも言えずにいた。
心配してくれつつも察してほっといてくれている彩佳は、大人だと思う。

「そういえば、美月が言ってたけどさ」
「なに?」
「相良くんの前の学校の友達も、文化祭に遊びに来るんだって」