「うちら、看板担当になったから、旧総合棟行ってくるねー」
翌日の金曜日の昼休み、尚美がそう言って美月と一緒に手を振って教室を出ていった。
歯磨きから戻ってきたばかりの私は、隣で「はーい」と言った彩佳に、
「看板、旧棟で作成するの?」
と尋ねる。
「うん、そうみたい。新しい美術室は埋まってるらしくてさ、旧美術室を使わせてもらえることになったんだって」
「……へぇ」
ロッカーに歯ブラシセットを戻した私たちは、教室に入って私の席で一緒にバルーンアートの続きをする。
それぞれの受け持ちがあって、私と彩佳はひたすら動物の形を作るために、こうして空き時間を費やしている。