「なんで、報われない、って決めつけたの? 今」
「ん?」
 
相良くんの口が真一文字になる。その違和感丸出しの顔にピンときた私は、
「あれ? もしかして、立ち聞きしてた?」
と眉間にしわを寄せる

「……なに? なんのこと?」
 
あからさまな猿芝居に、私は彼の肩を小突いた。

「いてっ。しかたないじゃん。たまたまここに来てみたら、聞こえてきただけで」
「堂々と入ってきたらよかったじゃん」
「いいの? 俺らが委員長に誤解されても」
 
そうだった。
それすら忘れていた自分を不思議に思う。