「あ、わかった。俺に会いたいんだな」
「はいはい」

こんな調子の軽い男の彼氏だなんて、“あっちに残してきた女の子”が不憫すぎる。
そう思いながら私は立ち上がり、少しだけ空気の入れ替えをしようと窓際へと寄った。

「……あ」
 
久しぶりに弓道場を見下ろすと、園宮くんの姿が目に入った。

窓を開けた時に彼はちょうど弓を射るところで、こちらにまでシュッというまっすぐに飛ぶ矢の音が聞こえてきた。
けれど的場は死角になっていて、結果が見えない。

「的に当たった音がした」
 
ソファーに座ったままだった相良くんが、窓際の私の横顔に声をかける。