のけぞった姿勢のままで、社長かと言いたくなるような態度の相良くんは、「まぁ、どっかで折れるとは思ってたけど」とつけ加える。

私は自分の憤りを抑えるように、ふんっと鼻から息を吐き、「……もういい」と言った。

「おーい、着ぐるみ脱げてんぞ」
「いいの、相良くんの前なら」
「委員長の前でも脱げばいいのに」
「嫌われるもん」
「ハハ、出た」
 
私は、相良くんのペースに巻き込まれているような気がして、すくっと立ち上がる。

「帰んの?」
「うん」
「まだあとちょっと時間あるじゃん。その前に、一緒に弾いてよ、ピアノ。ちゃんとコンクールまでは我慢したんだから」
 
見下ろすと、相良くんは悪びれもなく首を傾げて、「ね」と言った。
これは、美月と一緒のタイプだ。
可愛いキャラで押し通せばなんとでもなると思っている。