「真剣だって言ったの、誰よ?」
「ごめんごめん」
 
結局、相良くんの緊張感のなさに、こっちも気が抜けてしまい、私は大きなため息をついた。

「とにかく、承認欲求ばっかりで、いろんなことの目的がすり替えられてる、ウサギ」
「なにそれ。ていうか、なんで相良くんにわかるの?」
「昔の俺に似てるから」
「昔……って」
 
思わず笑ってしまった。
高校二年生の言う“昔”なんて、たかが知れている。

「認めてほしい、褒めてほしいって、人間の本能でもあるでしょ? そんなの、みんな一緒よ。承認欲求のない人間なんていないわ」
「そうだね」
「前から言ってるけど、それで頑張ってこられてるんだし、それに周りにも喜んでくれてるんだし、今の自分に満足してるんだから、それで十分じゃない」
「満足してねーじゃん。ちょっとミスったくらいで、ポキッと折れてんの誰だよ」