「……え?」
「外側ばっかりだ、全部。もっとこう、自分の内側からのもの、ないわけ?」
「内側?」
「こことか、ここ」
 
そう言いながら、相良くんは私の額と、鎖骨の下あたりを、順に人差し指で押した。

「ちょっ……」
 
パチンととっさに手の甲でその指を払いのけ、私は「セクハラ」と強く言った。
相良くんは、「おい、ちょっと聞けよ。真剣な話をしてんだから」とぼやく。

「とにかくさ、ウサギは、優等生の着ぐるみを着てるんだよ」
「は?」
 
着ぐるみ? 
なんでそんなファンシーなものが出てくるんだ。

そう思っていると、言った本人が、言い得て妙だというように、ブッと噴き出す。