「おい」
 
その時だった。
上から声が降ってきたのは。
 
パッと手をよけると、天井が見えるはずの視界に、相良くんの顔がアップで映り込む。

「わっ!」
 
慌てて飛び起きて、頭と頭がぶつかる。
相良くんは、「ってぇー……。やっぱ石頭だ」と涙目で額を押さえ、私も声に出せない痛みに両手で頭を抱える。

「なんで?」
「なんで、って、バスまでの時間が長いから」
 
飄々とそんなことを言って隣にドスッと座る相良くん。
勢いがよすぎて、私のほうもちょっとバウンドした。