「そっか」
 
ギッと小さな音を立てて、園宮くんはソファーから立ち上がった。
相良くんより身長の高い園宮くんに、目線の高さを微調整する。

「でも、ありがとう。教えてくれて」
「……うん」
 
私は、どうしたいんだろうか。

「宇崎さんは、話しやすい」
「え?」
「こういう話、男友達にもしたことないのに、なぜか宇崎さんなら話せる」
「あ……ありがとう」
「いや、こちらこそ」
 
入口へと歩く園宮くんを目で追いながら、こんなに嬉しくない信頼は初めてだ、と思った。
自分の中の知らない自分が、どんどん私をいやな女の子にしていく。