「好きなんだ? 美月のこと」
 
聞いてみると、園宮くんは無表情で数秒停止したのちに、鼻をつまんで俯きながら、「まぁ……」と言った。
 
窓の外の緑色がくすんで見える。
それはそのはずだ、もう秋なんだから。

私はそんなことを思いながら、
「付き合ってはないと思うよ」
と返した。

その声に、園宮くんがふっと顔を上げる。

「でも……たしかにいい感じだよね、ふたり」
 
続けた私の言葉に、彼の無表情は変わらない。

けれど、いい気はしないのはたしかだろう。
わかっていてそんなことを言う私は……私は……。