「相良くんと……」
 
まさに今考えていた人の名前が園宮くんの口から出て、私は「えっ?」と驚いた声を上げてしまった。

「相良くんとはあいかわらず仲いいの?」
「う……うん。まぁ」
 
あれ以来、ここ数日は全然喋っていないけれど。
それよりも、校舎内では、美月のほうがすれ違ったりすると楽しそうによく話している。

「そっか」
 
前のめりにソファーに座って、膝の上で手を交差している園宮くん。
こころなしか、彼らしくない気がした。

私は、園宮くんには自分と彼が仲よしだと思われたくなくて、
「あ、でも、美月のほうがよく話してるよ」
と、髪を手櫛で整えながら話す。今日は髪を結んでいなかった。