その日は英会話教室の曜日だった。
上の空で講習を受けて家に帰ってきた私は、重たい気持ちのままで食卓につく。
三人で食事をする中、やはりお父さんが小難しい顔で会社や政治の話をするのを聞く。
今日はどうか、そのままでこちらに話題を振らないでほしいと願いながら、私はオムライスをかき集めた。
「理穂子は頑張ってるのか? 今日の英会話はどうだった?」
私は、きた、と思いながら、「うん。まぁ、ぼちぼちだよ」と答える。
スプーンの音が、やたらと甲高く耳に響く。
「そうか。少しずつでも着実にやれば、結果は必ずついてくるからな。頑張れよ」
「……うん」
「ピアノはどんな調子だ?」
「ピアノも、まぁまぁ」