「美月が仲よくなって、それで話すようになったの」
「美月って……笠間さん?」
「そう」
 
私は、こんなふうに隠そうとしている自分もちょっといやだなと思いながら、表向きの事情を話す。


すぐに職員室に着いた私たちは、先生から配布用のホチキス留めされたプリントの束を受け取り、腕に抱えながらまた廊下を教室へと歩き始めた。

「よく知らないし、クラスも違うのに、あんまり仲良くするのはどうかな」
「え?」
「さっきの話の続き。転校生」
 
園宮くんらしからぬ発言に、私は隣を歩く彼を見上げる。
階段にさしかかり、私は、「あぁ……うん」と言って、段差に目を落としながらのぼった。

クラスは違うけれど、相良くんのことはまぁまぁよくわかっているつもりだ。
でも、そんなふうには反論できない。