「わっ」
「……びっくりしたー」
 
中間考査がちょうど終わった日、帰りのホームルーム前にトイレに行った私は、偶然出てきた相良くんとぶつかりそうになった。

「なんだ、ウサギか」
「ちょっと、そんなふうに呼ばないでよ。音楽室以外では」
「あぁ、じゃあ、理穂ちゃん? テストできた?」
 
トイレから少し離れて、私は周りに人がそんなにいないのを確認してから、
「まぁ、ぼちぼちだと思うけど。相良くんは?」
と聞いた。

中庭を抜ける渡り廊下のところで、立ち止まって話をすることにする。