「全然いいよ。俺、気にならないから。それに、ここソファーはあるし、風も通るし、陰で涼しいし、気に入っちゃった。どうせ使わない棟なんでしょ? そっちもそれで使わせてもらってるクチだろうし」
「…………」
そちらが気にならなくても、こちらはものすごく気になるんですけど。
そう思うも、私物化するなよと遠回しに言われているようで、強く言い返せない。
そもそも、彼は先輩なのか後輩なのか、はたまた同級生なのか。
いや、それよりもこの高校の人間なのかも定かじゃない。
でも、一度目が合ったっきりずっとゲームの画面を見ている彼に、これ以上追及する気も失せてしまい、私は視線を鍵盤へと戻す。
……うん。
気にならないってことだから、集中する練習にもなると思って、普通に弾かせてもらおう。
うるさかったら、そのうち来なくなるだろう。
今日だけかもしれないし。
気を取り直した私は、再びショパンのエチュードを弾きはじめた。
4メートルほど後ろのソファーが気になって、指がさっきよりも硬い。
でも、そこで止めずに調子を整えようと弾き続ける。
「…………」
そちらが気にならなくても、こちらはものすごく気になるんですけど。
そう思うも、私物化するなよと遠回しに言われているようで、強く言い返せない。
そもそも、彼は先輩なのか後輩なのか、はたまた同級生なのか。
いや、それよりもこの高校の人間なのかも定かじゃない。
でも、一度目が合ったっきりずっとゲームの画面を見ている彼に、これ以上追及する気も失せてしまい、私は視線を鍵盤へと戻す。
……うん。
気にならないってことだから、集中する練習にもなると思って、普通に弾かせてもらおう。
うるさかったら、そのうち来なくなるだろう。
今日だけかもしれないし。
気を取り直した私は、再びショパンのエチュードを弾きはじめた。
4メートルほど後ろのソファーが気になって、指がさっきよりも硬い。
でも、そこで止めずに調子を整えようと弾き続ける。